ナイアシン
ナイアシンとは、ナイアシンアミド(ニコチンアミド)とナイアシン(ニコチン酸)の総称です。ナイアシンはビタミンB3と呼ばれていたビタミンB群の仲間で、水に溶ける(水溶性)ビタミンです。
ナイアシンは体内でもつくられる
ナイアシンは体内で必須アミノ酸「トリプトファン」からもつくられます。トリプトファン60個から1つのナイアシンがつくられる計算です。
熱とナイアシン
ナイアシンは熱に強いので、調理の過程でそんなに失われることはありません。
ナイアシンの働き
ナイアシンは全身で500種もの酵素の補酵素として働いています。その主な働きとしては次のようなものが挙げられます。
- エネルギー作り
- 脂質や糖質の分解
- 皮膚・粘膜の炎症を防ぐ
- 神経症状を防ぐ
ナイアシン不足の症状
ナイアシン欠乏症としては、ペラグラが有名です。ナイアシン不足の症状としては次のようなものが挙げられます。
うつ、幻覚症状、イライラ、不安、精神障害、口内炎、皮膚炎、舌炎、胃腸障害、下痢、ペラグラなど
ナイアシンの効果
エネルギーとナイアシン
ナイアシン効果のひとつにエネルギー産生があります。
私たちが酸素を使って効率よくエネルギーをつくるとき、ナイアシンが必要です。ナイアシンはNADというかたちでエネルギー作りに関わります。
うつとナイアシン
ナイアシンの効果として心の不調、うつや統合失調症に効くことが期待されています。図は心の素(神経伝達物質)ができる流れです。うつに関係するといわれるセロトニン合成の流れなど、ナイアシンはそのすべての上流に関わっている重要なビタミンです。
統合失調症とナイアシン
統合失調症の患者さんの中にはナイアシンレセプターが関わっている方もいらっしゃるとの論文も発表されています。
ナイアシンとホットフラッシュ
ナイアシンには血管拡張作用があります。そのため、ナイアシンを大量に摂ると、人によっては一過性で顔面紅潮、上半身のほてり、かゆみ症状が現れることがあります。これをホットフラッシュといいます。ナイアシンのうち、ナイアシンアミドはこのホットフラッシュが出にくいといわれています。
アルコールとナイアシン
アルコールを飲んだとき、お酒を分解するにもナイアシンが必要です。二日酔いの原因にもなる毒(アセトアルデヒド)を分解する酵素の補酵素として働きます。
お酒を飲むとき、ナイアシンも一緒に補給しましょう。
ナイアシンの臨床応用への期待
ナイアシンは以下のような臨床応用が期待されています。
- 虚血性心疾患予防
- 心筋梗塞、脳梗塞予後の改善
- 甲状腺機能亢進症
- アルコール依存症
- 神経疾患 など
ナイアシンを多く含む食品(1食当たり使用量と含有量)
ナイアシンは魚介類やレバー、ピーナッツ、エリンギなどに多く含まれます。以下はナイアシンを多く含む食品の1回分量とナイアシン含有量です。
食品 | カツオ刺身 | 豚レバー | エリンギ | ピーナッツ |
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1食当たり 使用量 |
厚め7切れ (100g) |
100g (生) |
中1本 (45g) |
20粒 (炒り、10g) |
含有量 | 19.0mg | 14.0mg | 3.2mg | 1.7mg |