レシチン(フォスファチジルコリン)
レシチンとは
レシチンは、動植物、微生物界に広く分布している、リン脂質の一種です。
レシチンは一般名で、日本ではフォスファチジルコリンだけでなく、他のリン脂質やスフィンゴミエリンとフォスファチジルコリンの混合物を指しています。(広義のレシチン)
アメリカの栄養指導では、レシチンとはフォスファチジルコリンそのものを指しています。(狭義のレシチン)
ここでは、レシチンはフォスファチジルコリンのこととしてお話しいたします。
レシチンは細胞膜の主成分
60%が水でできているヒトのからだを、きちんと区切ってくれているのが細胞膜です。細胞膜はタンパク質と脂質でできています。
細胞膜は、「区切る」だけでなく、からだの情報を伝えたり、必要な物質を通して要らない物質を通さないようにするなど、とても大きな役割をしているものです。私たちは、この細胞膜が健やかでいてくれるおかげで、毎日を無事送ることができています。
そして、レシチンはこの細胞膜の主役になっている成分です。
レシチンを守るビタミンE
レシチンは真ん中にサビやすい(酸化されやすい)不飽和脂肪酸がくっついています。そのため、それをサビ(酸化)から守ってくれるビタミンEと一緒に摂ると効果的です。
レシチンの働き
- 脂質二重層を形成→生体膜の主要構成成分
- 脂質の吸収を助ける
- 情報伝達物質の材料(アセチルコリン)
- 脂肪肝の改善
- 神経細胞のミエリン鞘(髄鞘)の主成分 など
レシチンは脂質の吸収を助けます
レシチンは水とあぶらの両方に親しみやすい性質を持っています。
そこでレシチンは、からだの中で脂質、脂肪酸、コレステロールや脂溶性ビタミン(ビタミンA、E、D、K)など水に溶けにくいものを包み込み、ミセルをつくり、水に溶けるようにします。そうすることで、これらの栄養素が腸で吸収されるのを助けてくれているのです。
脂肪肝とレシチン
レシチンは、肝臓から中性脂肪を運び出す手助けをしてくれます。 脂肪肝や隠れ肥満の方は、肝臓から脂肪を出す働きをしてくれるタンパク質とレシチンをしっかり摂るといいかもしれません。
レシチンは神経伝達物質アセチルコリンの材料
レシチンは、神経伝達物質アセチルコリンの材料です。
アセチルコリンはコリンとアセチルCoAからできています。このとき使われるコリンが、レシチン(フォスファチジルコリン)からできています。
アセチルコリンとは
アセチルコリンは、副交感神経や運動神経の末端から出る神経伝達物質のことです。アセチルコリンは、 神経細胞と神経細胞のつなぎ目(シナプス間)で興奮を伝えたり、副交感神経の興奮、骨格筋などの収縮を起こします。さらには血圧降下の作用も持っています。
アセチルコリンは、特に記憶に関係の深い物質でもあります。認知症の方は、脳内のアセチルコリンが著しく減少しているという報告があります。
健康な脳の強い味方、レシチン
レシチンは健康な脳の強い味方。物忘れが気になる方などは、ぜひレシチンを積極的に摂りましょう。
こんな方はぜひレシチンを!
- 最近物忘れが多い
- 認知症が気になる
- アルツハイマー病が気になる
- お酒を飲む機会が増え、肝臓が心配
- 高血圧や動脈硬化が気になる
- タバコを毎日吸う
レシチンを多く含む食品
レシチンを多く含む食品は卵黄です。卵の栄養価はアミノ酸バランスが優れているだけではなく、神経伝達物質の原料となるフォスファチジルコリンの含有量がとても多い食品です。
レシチンを多く含む食品としては他に大豆がありますが、フォスファチジルコリンの量は卵の方が多くなっています。
「マヨネーズ」とレシチン
マヨネーズは糖質制限食の味方です。マヨネーズの主な材料は、酢と油と卵黄ですね。
この酢と油という混ざりにくいものをうまく調和させてくれているのが、卵黄です。卵黄の中に含まれるフォスファチジルコリンは、水にも油にもなじみやすい性質を持っていて、これが「水と油」というなじまない2つの性質のものを1つにまとめてくれているのです。
卵黄が入っていないドレッシングはしばらくすると油分と水分が分離してしまいます。