コンドロイチン硫酸・グルコサミン
グルコサミンとコンドロイチン硫酸はグリコサミノグリカンの構成成分となります。
グリコサミノグリカンは関節や関節軟骨、関節液、角膜、皮ふなどにあって、組織を柔軟にしたり、水分を保持して潤わせるという作用があります。
コンドロイチン硫酸とグルコサミンの2つを併せて摂ることで、相乗的に作用します。
コンドロイチン硫酸とグルコサミン
コンドロイチン硫酸単独での関節症への効果は否定的な報告もありますが、それを認める報告もあります。
しかし関節症へのグルコサミンとの併用に関しての有効な報告が多く、この2つの組み合わせは、関節症での王道の組み合わせとなっています。
総死亡率を下げる!?グルコサミンとコンドロイチン
グルコサミンとコンドロイチンのサプリメント摂取が総死亡率を下げる!?
平均10年間に及ぶグルコサミンとコンドロイチン硫酸の摂取が、どちらについても総死亡率を下げることと関係していたと報告されました。
これは、アメリカ ワシントン州の住民約7万7千人(50-76歳)を平均5年間追跡した結果です。(前向きコホート研究)
Pocobelli G ,et al.,Am J Clin Nutr. 2010 Jun;91(6):1791-800. Epub 2010 Apr 21.
Total mortality risk in relation to use of less-common dietary supplements.
コンドロイチン硫酸
コンドロイチン硫酸は軟骨組織から抽出されたムコ多糖です。軟骨細胞という意味のギリシャ語「コンドロサイト」が語源です。
ムコ多糖とは
ムコ(muco)とは粘液性の、という意味です。ムコ多糖には、眼のガラス体、とさか、関節液、皮膚などに多く含まれるヒアルロン酸、動物の軟骨組織内や結合組織に含まれるコンドロイチン硫酸などがあります。
コンドロイチン硫酸の構造
コンドロイチン硫酸はどんな構造をしているでしょう。
コンドロイチン硫酸の構造は、D-グルクロン酸とN-アセチルガラクトサミンの2糖が繰り返しつながってできた多糖になっています。
コンドロイチン硫酸の分布
コンドロイチン硫酸は、結合組織の主要成分です。タンパク質と結合したコンドロムコタンパク質として軟骨、皮ふ、血管、靭帯、粘液など、あらゆるところに広く分布しています。
結合組織とは
血液は血管の中で全身に必要な酸素や栄養素を細胞まで運んでくれます。しかし血管が直接細胞に貫通しているわけではなく、細胞と細胞をつなぐ結合組織を通って、そこを栄養で満たし、細胞に栄養を供給してくれています。つまり、結合組織は細胞に栄養を送る役目を果たしてくれているのです。
また結合組織は細胞と細胞のすきまを埋めて器官の固定や保護といった役割も果たしています。このクッションとなる結合組織の主要成分がコンドロイチン硫酸などです。結合組織がふかふかになるようにその水分を保持してくれています。
コンドロイチン硫酸の種類
コンドロイチン硫酸はA~E、H,Kの7つあります。一口に「コンドロイチン硫酸」といっても、どんなコンドロイチンが入っているかで効果は違ってきます。
コンドロイチン硫酸とタンパク質
コンドロイチン硫酸は体内ではそのままでは存在しません。コンドロイチン硫酸は、生体内では必ずタンパク質と結合しています。そして複雑な複合体をつくっています。このタンパク質が変性してしまうと、コンドロイチンの機能は果たされません。コンドロイチン硫酸がタンパク質とくっついてできたものをコンドロムコタンパクといい、これが生体内で機能を発揮します。
コンドロイチン硫酸の吸収
コンドロイチン硫酸は大きな分子なので、サプリメントで摂っても吸収されないのでは、という疑問がわくかもしれません。
この点に関しては、人でのさまざまな報告があります。そして現在、人にコンドロイチン硫酸を経口投与すると、ある程度吸収されるものと考えられています。
コンドロイチン硫酸の働き
コンドロイチン硫酸は、体内のさまざまな組織に存在します。特に結合組織や関節液などに多く含まれ、肌の保湿や水分の調節に働きます。
- 水分の保持
- 水分の調節
- 物理的な刺激に対する吸収剤
保水性を保つコンドロイチン硫酸
コンドロイチン硫酸はマイナスに荷電しています。そのため、お隣同士が反発して隙間ができます。そしてその隙間に水が入り込みます。その入った水が動きにくい状況になって水が保たれ、保水性を発揮します。
ミネラルとコンドロイチン硫酸
ミネラルはプラスに荷電しています。一方、コンドロイチン硫酸はマイナスに荷電しています。
コンドロイチン硫酸が体内できちんとつくられているということはマイナスの電気があるということなので、プラスの電気を持ったミネラルがくっつきやすい、つまり結合組織が健全であるということを示します。
コンドロムコタンパクがきちんと生合成されているということは、カルシウムやマグネシウム、カリウムなどのミネラルの働きが充分にできていますよ、ということにもなるのです。
コンドロムコタンパクは老化とともに減少します。
このコンドロムコタンパクの量は老化とともに減少します。
コンドロムコタンパクは保水性があるので、その減少は皮ふの老化につながってしまいます。例えば皮ふのコンドロムコタンパクが少なくなれば皮ふが乾燥し、しわができたりします。そしてせっかくの肌がカサカサになってしまいます。
アンチエイジングにコンドロイチン硫酸補給が役立つことが期待されています。
軟骨とコンドロイチン硫酸
軟骨と軟骨の間にある滑液もコンドロムコタンパクでできています。
関節は結合組織がたくさんある臓器の代表です。
薬の解毒とコンドロイチン硫酸
飲んだ薬は必ず解毒をするように、私たちのからだは働いてくれます。このとき、コンドロイチン硫酸の一部であるグルクロン酸や硫酸残基が解毒に関わります。
コンドロイチン硫酸の臨床応用への期待
コンドロイチンは、以下のような研究による効果が報告され、その臨床応用が期待されています。
- 変形性関節症
- 腎炎
- 疼痛性疾患(関節痛、腰痛、神経痛、五十肩など)
- 疲労回復
- 血栓抑制作用
- 角膜保湿作用(ドライアイ)
- 音響外傷性難聴 など
グルコサミン
グルコサミンは、グルコースにアミノ基が1つついた小さな分子です。人の体内ではグルコースから作られます。
グルコサミンは人の身体のなかに存在しています。関節軟骨や皮膚にはグリコサミノグリカンという分子があって、組織を柔軟にし、水分を保つ働きをしています。グルコサミンはグリコサミノグリカンの構成成分です。
グルコサミンの分布
グルコサミンは、動物体内ではタンパク質の成分として、関節軟骨、爪、腱、靭帯、皮フ、心臓弁および結合組織に分布しています。
グルコサミンの吸収
サプリメントとして摂ったグルコサミンは、とても小さな分子なので、腸管あるいは胃壁からそのまま吸収されると考えられています。
人がグルコサミンを口から摂ると、速やかに吸収されて血液中に移り、運ばれていきます。そして腎臓、肝臓、関節軟骨を含む他の組織に分布していきます。
グルコサミンの生理機能
グルコサミンにはどんな生理作用があるのでしょう。グルコサミンには、軟骨などの強度、柔軟性、弾力性に役立つ成分になる栄養素的な役割と、抗炎症作用などの薬理作用の2つがあります。
- 生体の構成成分(軟骨などの強度、柔軟性、弾力性に役立つ成分になる)
- 薬理作用(抗炎症作用、関節軟骨の損傷抑制など)
グルコサミンの働き
グルコサミンの働きとしては、変形性関節症や関節炎に伴う症状の予防や改善が期待されています。その他に期待されるグルコサミンの働きとしては抗炎症作用などが挙げられています。
- 変形性関節症や関節炎に伴う症状の予防や改善
- 関節軟骨の修復作用
- 関節軟骨の保護作用
- 抗炎症作用を発揮する可能性
- 血栓予防作用
- 抗動脈硬化作用
- 美肌作用 など
乾燥肌のお手入れとグルコサミン
乾燥肌のお手入れ方法。外側ではなく内側からのお手入れはいかがでしょうか?
乾燥肌の女性にグルコサミンを投与した場合、肌の保水力や滑らかさを向上することが報告されています。
食べ物に含まれるグルコサミン
人は食べ物(肉や魚)に含まれるプロテオグリカンの成分としてグルコサミンを摂っています。これはグルコサミンを摂っていることになるのでしょうか?
残念ながら答えはノーです。
これら肉や魚の中にあるグルコサミンは人が持っている酵素では分解されないので、グルコサミンを直接摂ったことにはなりません。
グルコサミンを摂る場合はサプリメントで補うことになります。