トコトリエノール
トコトリエノールとは
トコトリエノールはビタミンEの一種です。α、β、γ、δの4種類があります。
ビタミンEは、トコフェロールとトコトリエノールの二種類に大きく分けられ、トコトリエノールはトコフェロールの約50倍近くの強い抗酸化力をもつといわれ、スーパービタミンEとも呼ばれます。
また、トコトリエノールは、がん、骨吸収、糖尿病、神経系などの病気について、米国を中心に医学教育や臨床の場で積極的に研究され、栄養機能食品や薬としての開発が望まれているビタミンです。
抗酸化力の比較
脂質過酸化の予防において、トコトリエノールはα-トコフェロールより高い抗酸化作用を持つことが報告されています。
トコトリエノールの働き
トコトリエノールの働きとしては、以下のようなことが研究されています。
- 強い抗酸化作用
- 抗がん作用
- 脳機能保護作用
- 動脈硬化改善作用
- 利尿作用
- 炎症低下作用 など
トコトリエノールの効果
中皮腫
トコトリエノールは、化学療法の効かない中皮腫への新しい治療作用物質として期待されています。
Kashiwagi K .et al.Life Sci. 2009 May 8;84(19-20):650-6.
A redox-silent analogue of tocotrienol acts as a potential cytotoxic agent against human mesothelioma cells.
乳がん
トコトリエノールを抗がん剤タモキシフェンと一緒に使うことで、乳がんの生存率を伸ばすことができるかもしれない、ということがいわれています。
Nesaretnam K .et al.Genes Nutr. 2011 Apr 24.
Tocotrienols and breast cancer: the evidence to date.
心臓血管系疾患
心臓血管系疾患において、トコトリエノールがアテローム性動脈硬化症の予防に有効に働く可能性が報告されています。
Vasanthi HR .et al.Curr Pharm Des. 2011 Jul 21.
Tocotrienols and its Role in Cardiovascular Health- a Lead for Drug Design.
皮ふの炎症予防作用
γ-トコトリエノールは紫外線(UVB)による皮ふの炎症を防ぐ役割をしてくれる期待がもたれています。
Shibata A .et al.J Agric Food Chem. 2010 Jun 9;58(11):7013-20.
Suppression of gamma-tocotrienol on UVB induced inflammation in HaCaT keratinocytes and HR-1 hairless mice via inflammatory mediators multiple signaling.
心臓血管系疾患
γ-トコトリエノールは利尿作用があることが報告されています。
Saito H .et al.J Lipid Res. 2003 Aug;44(8):1530-5. Epub 2003 May 1.
Gamma-tocotrienol, a vitamin E homolog, is a natriuretic hormone precursor.
トコトリエノールを含む食品
トコトリエノールはパーム油をはじめとした食用油や、米ぬか、大麦、小麦胚芽、ライ麦などの食品に含まれます。
しかし、トコトリエノールは通常の食品にはほんのわずかしか含まれておらず、普通の食事からは摂取しにくい成分です。