ラクトフェリン
ラクトフェリンとは
ラクトフェリンは、母乳、涙液、唾液、血液、粘液等の分泌液や好中球に分布する鉄結合性糖タン白質で、感染防御に必要な成分です。ヒトの初乳に特に多く含まれ、乳児におけるウイルスや細菌などの感染を防ぐ重要な成分です。また、ストレスや薬物、老化等による腸内細菌叢の乱れを防ぎ、腸管免疫システムの恒常性を保持するなど、多機能タン白としての作用が期待されています。
ラクトフェリンの機能
腸管免疫ネットワークへの働き
免疫機構は、細菌やウイルス等の外敵から身体を守るための防御システムであり、細胞のがん化や花粉等のアレルギー物質に対する防御能も免疫の力によるものです。これらの防御システムの一躍を担うのが腸管免疫ネットワークです。全身の免疫細胞の60~70%が腸管に集中していると考えられています。
- ①免疫調整機能
- 小腸にあるパイエル板は、リンパ球が集合した免疫組織で、全身の免疫ネットワークの維持に大きく関与しています。ラクトフェリンは、このパイエル板に働きかけて、免疫細胞を活性化します。
- ②抗菌・抗ウイルス作用
- ラクトフェリンは、鉄との結合力が大変高いため、マクロファージや好中球の中で鉄を利用したフェントン反応(強力な活性酸素の発生)を活性化して、細菌やウイルスを攻撃します。
腸内細菌叢改善作用
腸内には善玉菌と悪玉菌が共存しています。しかし、加齢やストレスによって善玉菌が減り悪玉菌が増えることで、腸内細菌層のバランスが乱れ、体調が崩れる原因になります。
マウスに牛乳だけを与えて飼育すると、マウスの糞便中の大腸菌は通常の飼料で飼育した場合と比べて約100倍に増加した。一方、ラクトフェリンを2%添加した牛乳の場合は、添加しない牛乳に比べて有意に抑制された。
鉄吸収調節作用
鉄は、大切なミネラルです。成長期のお子さんや有経の女性は特に不足しがちです。
歯周病の抑制作用
歯周病は、口腔内のみならず、全身に影響を及ぼす疾患であることがわかってきています。
ラクトフェリンを含む食品
乳に含まれる栄養素ですが、熱と衝撃に弱いため、市販の牛乳等ではほとんど破壊されて微量しか含まれません。サプリメントで摂取するのが最も効果的です。
ラクトフェリンは小腸以下の消化管で作用するため、腸まで届かせることが大切ですが、酸にも弱いために、胃酸が出ていると分解されてしまいます。食前もしくは、食後1時間経過以降に摂るのが効果的です。胃で解けないような加工を施すと、加工の際の衝撃でラクトフェリンが分解されてしまう可能性もあります。